風の時代 : 二極化ではなく多極化
風の時代の占星術のおける解釈について、もう少し内容を掘り下げてみようと思います。
地の時代が、堅強で微動だにしないような大地のように、地に足がついた物心社会であるのに対して、風の時代、「空気」の時代は、目に見えない空気のように、目に見えないものが、重要な時代となっていきます。
実際、この物質社会でも、90パーセントのものは、人間の目には見えないものと言われているので、目に見えないものと言われても、定義するのは大変です。人間の視力は完璧ではないし、この世に存在するものを全て、認知しているわけではありません。ウイルスも細菌も見えないし、蚤のような小さな生物も見えません。自分の前は見ても、背中は見えません。幽霊もお化けも見えないし、地球の裏側で起こっていることも見えません。それどころか、隣の家で何が起きているかも見えないし、隣の部屋の扉の向こうで何が起きているかも見えません。
それでも日本語では、「空気を読む」という表現があります。目には見えなくても、雰囲気でさとる、言葉に出さなくても、表情で人の心を読む、というように、はっきりとした物質的な確証がなくても、物事を認知するという能力を、人間はみなもっています。風の時代でより鮮明になっていくことは、この「空気」をよむという行為が、より実行力をもっていくということです。
地の時代では、物資的な確証がものをいう時代でした。大手メディアが報道することのみが、この世の「真実」だとされていたり、学校教育で習うものことこそが、「正しい」知識とされていました。
しかし、風の時代では、このような物質的な確証がなくても、人々は自分の直感に従って、行動していきます。これは、人々の認知バイヤスそのものが変わることなので、潜在意識における、集合意識を大きく変革することになるのです。
例えば、学校に行かなければ、社会的な信用がえられないとか、大企業の正社員じゃないとダメだとか、結婚したら入籍しなければいけないとか、大手メディアが報道しないことは一方的に陰謀論と決めつけたり、このような、「公的に正しい」というものが、衰退していきます。
これは、学校教育や公的な大手メディアが、正社員じゃなくてもいいですよとか、入籍しなくてもいいですよ、とか、あたりさわりのいい、個人の価値観を重要視するように、変容するということではありません。そういう、側面もあるかもしれませんが、基本的には、教育の立ち位置もメディアのスタンスも風の時代になっても何もかわりません。そりゃそうですようね。学校の先生が「学校こなくていいですよ」とか、テレビのアナウンサーが「陰謀論とよばれているものは、真実ですよ」なんて、絶対に言いません。
変わっていくのは、それらを受け取る人々の側であって、地の時代にがっちりと作られた、情報インフラは、そのままです。とくに、これから20年間は、風の時代のなかでも、とくに水瓶座の時代になるので、個々人の異なった認知そのものが、社会的なインフラを作るうえで、重要なファクターとなっていきます。
例えば、ものやサービスを提供するのに、同じものを大量に生産して、大量に供給するのが、資本主義社会を制覇する、王道でした。沢山作れば作るほど、商品一つにかけられるコストが少なくなるからです。だがら、地の時代では、マーケットの潮流を把握し、それにのっかる必要があったわけです。
少ないコストで利益を出し続ければ、マーケットの潮流にのっかるだけでなくて、それを作ることさえできました。宣伝費をかけてCMをうったり、テレビのスポンサーになって番組作りに直接かかわることができれば、流行をつくりだすなんてことは、たやすいことです。そして、さらに利益を出し続けて、企業の力が強まる。これが、冥王星が山羊座に入室する、山羊座時代におきていたことです。
「水瓶座」時代になると、そもそも、人々は、テレビをみる機会が減ります。テレビをみても、情報をそれほど信用しなくなります。CMをみて、ものを買うなんてもってのほかで、CMでやっているから、買わない、となるかもしれません。だって、莫大な広告費を使うくらいなら、その分を商品に還元してくれたものの方が、絶対にお得です。
マーケットの戦略もかわります。一般大衆のニーズにのるのではなく、多様なニーズを把握して、必要な人に必要なものをとどけるとかとが、より重要になります。いえ、むしろ、自分が売りたいものに対して、必要なニーズがどこにあるのかを見つける、という方向性の方が、主流になるでしょう。
このような兆候は、すでに今日でもみられるようになっていますが、今後、このようなニーズの多様化という傾向への変化は、より加速していくことになります。新しい、情報インフラの整備と普及というのは、水瓶座がもっとも得意としている分野です。
これは、古い山羊座の価値観と、水瓶座の価値観の二極化が進む、というような単純なものではありません。そもそも、このような、白か黒か、YESかNOか、というような、二項対立的なものの無見方そのものが、山羊座の教育、社会システムの中で作られた、古い認知バイヤスなのです。
水瓶座は、何が正しいか否か、という議論をすっとばして、多様なニーズに答えるように、物資の供給インフラを再構築させるはずです。表面的に見える変化は、古いものと新しいものを二分する、二極化ではなくて、その古いものでさえ、一つの選択肢として許容する、まさに多極化なのです。