心理学,  潜在意識

潜在意識とインナーチャイルド

潜在意識の仕組みを、もう少し、心理学的な側面から説明すると、かならず、インナーチャイルドという言葉をきくと思います。インナーチャイルド (inner child) とは、言葉通り訳すと、「内なる子ども」とですが、パーソナリティーにおける、子どもっぽい側面、子どもらしい感情や、子どものときの精神的な記憶の総体を擬人化させて、インナーチャイルドと呼びます。心理学や分析心理学、カウンセリングや医療現場での治療において、幅広く応用されています。

なぜ潜在意識において、インナーチャイルドが重要なのか、と言うと、潜在意識の多くが、幼少期に造られるからです。

間の脳の発達は、0歳から4歳ごろに後頭葉から始まります。喜怒哀楽などの心の動きを司る大脳辺縁系は3歳くらいに造られます。3歳から5歳ごろに頭頂葉、10代になって前頭葉が発達して、ほぼ大人と同じになると言われています。10代になってかも、脳の成熟に伴う、情報伝達機能の再編が行われ、高度な機能をつかさどる大脳皮質は徐々に成熟していきます。

脳は発達とともに、脳波の周波数が変化していきます。生後1年頃は、寝る直前のまどろんでいるときのシータ波が主体です。3~5歳頃から、リラックスしているときの脳波、アルファ波に徐々に変わっていきます。そして、15歳前後でアルファ波が優勢な成人に近い脳波となり、20歳頃に完全に成人と同じ脳波になります。

シータ派は、言わば催眠状態にあるような脳波なので、周囲の大人の言う言葉を、何のフィルターもなく、潜在意識に受け入れます。この時期に、無条件の愛情が与えられ、生きることや、この社会に対する、前向きな印象を与えられた子どもは、自己肯定感が高く、悩みが少ない、安定した精神状態をもつ大人に成長できるでしょう。

子どもが安定した精神状態をもって成長できるか、という観点においては、親が子育てを楽しめるかどうか、親自体が、自分の人生を楽しんでいるか、という点こそが、最も重要です。子どもに対して、どれだけ、前むきで肯定的な言葉をかけられるか、という、ただ単にテクニカルな意味での接し方ではなくて、それ以上に親自身がどのような精神状態で子どもと向き合えるのか、が重要なのです。

なぜなら、言語能力が未熟な幼児には、子どもの脳はシータ派優勢の催眠状態だからです。子どもは親が発する言語だけでなく、親の考えていることをまるでテレパシーを使っているごとく、全てをスポンジのように吸収します。

親が、この社会は、頑張って「仕事」をしないとまともに生きてはいけない、と思って、頑張って子育てをすると、子どもはその通り、頑張って仕事をしない人には、生きていく価値がないというメッセージを受け取ります。

反対に、親が子どもの世話が出来ることを、心から楽しんでいると、子どもは、この地球に魂をもって生まれて、ただ生きているだけで、あなたが存在しているだけで素晴らしい、というメッセージを受け取ることになります。

従って、あなたの親が、どのような子育てをしたのか、ということを見直してみると、あなたが引き寄せ体質なのか、否かということが、少しずつ見えてくると思います。

残念ながら、私は幸運にも引き寄せ体質だし、私の親は完璧な子育てをしてくれたわ、と思える人は、ごくわずかだと思います。

私は、学生時代に読んだ社会学の本の中で、アメリカやヨーロッパの先進諸国との比較で、日本の親は子育てを楽しんでいない、という趣旨の社会学的な論文を読んだことがあります。当時、日本人は、このような自己申告的なアンケート調査では、自分を否定的に見る傾向があるだけで、他国との違いは、それほどないだろうと、懐疑的でした。そして、自分は幸福か否か、という、これもまた自己申告的なアンケート調査では、当然のごとく、日本人の幸福度が一番低くなっている、という結果をみました。が、これも同じく、日本人の国民的な謙遜意識にすぎない、ぐらいに考えていました。

しかし、その後、私はアメリカで3年ほど留学のために滞在する機会をえました。そこで、実感をもって感じたことは、日本人はアメリカ人に比べて、子育てを楽しんでいない、家族中はよくない、兄弟中もよくない、という歴然たる違いでした。もちろん、経済的な格差を是正して比較をしなければいけませんが、必要最低限の生活はできているという、ミドルクラスの家庭を日米で比較してみたとき、アメリカ人方が、家族を大事にしているし、子育てを楽しんでいるということは、はっきりと実感できました。学生時代によんだ、社会学的な論文は、単なる文化的な、謙遜意識ではない、ということを身をもって感じました。

当時の社会慣習的な常識では、アメリカは個人の国で、日本は家族の国でした。なぜなら、年老いた両親を、子世代の大人が、全力で看護したりするからです。しかし、心理学を学んだ今思うことは、子世代が自分の生活を犠牲にして、親世代のために身を粉にして働くことは、何の得にもなりません。日本を家族の国だとして、社会システムの中の家族、という社会政策的な概念そのものが、諸悪の根源なのです。

心理学的な知識がある人は、日本人全体が総アダルトチルドレン化していることに気づいていますが、この原因は個人の心の問題というよりも、もっと社会的、集合的な意識にあると、私は考えています。

ブログランキングに参加しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です