十二支と十二星座 (2)
「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」という十二支には、季節のはじまりと季節そのもの、季節の変わり目を区別する、生支、正支、墓支という三元素という考え方があります。これは、西洋占星術でつかう、十二星座の3つの区分、「活動宮、不動宮、柔軟宮」と、全く同じです。
西洋占星術の十二星座では、活動宮の牡羊座からはじまって、不動宮の牡牛座、柔軟宮の双子座、と続きます。必ず、活動宮、不動宮、柔軟宮、という順番になります。
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活動宮は、十二支の生支と同じで、季節のはじまりを象徴します。春の始まりである牡羊座は、新緑が生きよいよく芽吹く季節であり、全てにおいて、勢いがあり、活動的です。
不動宮は、十二支の正支にあたり、季節の真っただ中で、気候がもっとも安定するときです。春がまっさかりで、新緑の季節である牡牛座は、安定した気候の中で、ゆっくりと、どっしりとしています。
柔軟宮は、十二支の墓支にあたり、一つの季節が終わりに近づき、次の季節へ移行するときです。春から夏へと移行する時期にあたる双子座は、変わりゆく気温や湿度の変化に柔軟に対応していくことが、求められます。
各季節ごとに、活動宮、不動宮、柔軟宮の星座をまとめると、以下のようになります。
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一方、十二星座には、季節の移り変わりによって定義される三区分の他に、「火、地、風、水」という四区分があります。四区分はエレメントとよばれ、星座の価値観を分類するうえで、もっとも基本的な要素を共有するグループとして、定義されています。それぞれのエレメントに、三区分が含まれており、この4つのエレメントと季節の移り変わりを象徴する、3つの区分によって、十二星座の本質的な性格は決定します。
また、同じエレメントの星座は、それぞれ120度の角度をとりながら、黄道上に配置され、この120度の角度はトラインと呼ばれ、強固な協力関係にあるとされる、ソフトアスペクトです。同じエレメント同志で、3つの星座がアスペクトととると、グランドトラインと呼ばれる複合アスペクトが描かれ、非常にラッキーな星の配置の一つとなります。
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十二星座には、十二支と同様に、陰陽の区別があり、火星座の牡羊座、獅子座、射手座、風星座の天秤座、水瓶座、双子座は陽のグループで、地星座の牡羊座、牡牛座、乙女座、水星座の蟹座、蠍座、魚座は、陰のグループです。黄道上では、陽星座の牡羊座からはじまって、陰の星座である牡牛座、陽の星座である双子座となり、陽、陰、陽、陰と交互に配置されます。
この十二星座と十二氏を、春の季節のはじまり、つまりは一年のはじまりとされている牡羊座と寅をスタートとして、互いの関係がわかるように並べてみると、以下のようになります。
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まず、季節ごとに、3区分をあわせるようにして、並べます。季節真っただ中の正支の十二支と、不動宮の星座を並べてみると、特徴が理解しやすいです。
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春を象徴する不動宮の星座は牡羊座で、冬に正支は卯です。日本をはじめとして、多くの国で、卯はうさぎをあらわす十二支とされていますが、西洋でも、うさぎは、春のおとずれをお祝いするイースター (キリスト教の復活祭) のシンボルです。また卯は、同じくイースターのシンボルである、卵の文字にも似ています。
夏の不動宮は獅子座で、夏をあらわす十二支は午です。どちらも火をあらわす要素があるので、みるからに熱そうです。ちなみに、2026年の干支は丙午ですが、干と支どちらも、火の要素にある、もっとも火の勢いがある干支になっています。そして、2026年には、土星が牡羊座に配置され、木星も獅子座に入ります。どちらも火の星座どうしという、非常に火が強い年です。
秋の不動宮は蠍座、正支は酉です。酉は、西という感じに似ていますが、見た目のとおり、西の象意です。酉は、酒を意味する「酋」の字に起源があり、酉は、収穫した穀物で新酒をつくる時期であり、穀物をじっくりと熟させるという象意があります。粘り強さと言う点では、蠍座と少しにています。
冬の不動宮は水瓶座で、正支は子です。水瓶座は、風星座でありながら、「水」という名前がつけられています。一方、子は水の五行の要素を象徴する十二支であり、五行の水は、知恵や才知、情報などの意味と、とても深い関係があります。
それぞれの星座のエレメントと、五行の意味をまとめると以下のようになります。当然、西洋占星術のエレメントと、東洋思想の五行の要素は、似ているようで異なっているので、ぴったりと一致するものではありません。たまたま、火の要素だけ同じですが、これはどちらかと言えば、偶然の一致であり、火という名前は共通であっても、その内容は、西洋占星術の火のエレメントと東洋の「木、火、土、金、水」であらわされる火の要素は違います。
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とくに大きな違いは、東洋の五行は、物質と精神を区別するものではない、ということです。「木、火、土、金、水」は、象意とするものは、全て物質であらわしますが、それは目に見える物質に例えた方が、理解がしやすいからです。全ての五行に、物質、感情、情熱、知性、といった、西洋の4つのエレメントに象徴されるような要素が含まれています。簡単に、金だから、物質、水だから、感情、などと解釈しないようにすることが重要です。
しかし、このように全体的な比較をとおしてみると、十二支と十二星座には、共通するものが多いということも事実です。十二支の起源は、古代中国の十二辰 (じゅうにしん) にあるとされ、天文天の赤道帯を十二分し、木星の位置で年を記録する、太歳紀年法で、十二支が使われたことにあります。東洋の占いが十二年周期であるのと、木星が約12年で黄道を一周することは、大きな関連があります。
最近の木星の運行をみると、十二星座と十二支が一致していることがわかります。木星の公転周期は、約11.86年で、ぴったり12年かけて黄道を一周するわけではありません。約86年たつと、木星が入る十二辰、太歳の位置は1辰ずれます。さらに、木星は逆行することもあり、常に十二支の十二星座の組み合わせが一致するわけではありません。
しかし、現在の木星の動きは、季節ごとに対応する十二支と重なっています。例えば、2020年の木星と土星が水瓶座で重なった年でしたが、2020年の干支は、庚子でした。現在は、西洋の占いでも、東洋の占いでも、地球にとって、重要な時期であることを象徴しているのかもしれません。
- 戊戌 2018/11/08 射手座 0度