2025年3月20日 春分図を読む (3) ロシアとウクライナ
2025年の春分図で、ロシアとウクライナの状況を見てみたいと思います。
まずロシアの春分図は、星座ごとにみる星の配置は他の国の春分図と同じですが、感受点の近くに重要な星が配置されていて、とても力強い春分図になっています。
ロシアは、丁度正午12時ぐらいに、春分を迎えます。MCの近くに土星がいて、10ハウスに海王星、太陽、金星、水星が入っています。10ハウスは、国の最高権力を表す場所なので、まさに、運命を握られている感じの配置です。

さらに、感受点の近くにいる天体は、土星だけではなく、火星がアセンダント、冥王星がディセンダントです。古典的な見方をすると、土星、冥王星、火星はどれも凶星なので、かなり厳しい配置とみることもできます。
アセンダントは国家の主権者をあらわす場所であり、ディセンダントは、敵国もしくは同盟国など、外国との関係を表す場所です。トランプ大統領との電話会談で、停戦交渉が進められているということですが、そこで、すんなりと停戦ということにはならないかもしれません。ロシアにとって、何らかの結果をあるかもしれませんが、これで戦争が終わるという見方は、楽観的すぎでしょうか。
同じように、春分図でウクライナをみると、ウクライナの首都、キエフとモスクワは、緯度は大きく離れておらず、実質的な時差は30分ほどです。従って、春分図の星の配置も、ロシアと大きくは変わりません。そもそもウクライナとロシアは、もともと同じ国だったわけで、運命共同体であり、大きな視点でみれば、この紛争は、内戦のようなものです。どちらが勝利するとか、どちらに幸運がもたらせるかという問題ではなく、どちらにとっても、痛手になるか、何らかの再興の契機になるような星の配置なのです。

しかし、あえて違いを明示するとすれば、より感受点に近いところに、主要な天体をもっているロシアにとって、大きな転機になります。さらに、軍事をあらわす場所である6ハウスに、月が入っているウクライナの方が、戦争による国民への影響が、より大きいということになります。
次に、ロシア連邦の創立日をもとにしたホロスコープと、今年の春分図を重ねてみます。現在のロシア連邦の創立日は、はっきりと明示されておらず、1991年12月25日のソビエト連邦の崩壊を期に、ロシア連邦がスタートしたという見方が一般的です。モスクワのクレムリンで、ソビエト連邦の旗が、ロシア連邦の旗に変わったのが、25日の早い時間とされているので、とりあえず、1991年12月25日の午前9時を、ロシア連邦の始原図として、星の配置をみますが、時間は正確なものではありません。

ロシア連邦の星の配置で、重要な天体は、蠍座21度の冥王星、蠍座22度の金星です。今年の春分図では、火星が蟹座20度、土星が魚座20度に配置されているので、同じ水星座の蠍座に、20度と21度にある天体で、きれいな正三角形が描かれています。土星と火星は困難をあらわす星ですが、金星と冥王星の力で、これらの困難に立ち向かっていけることをあらわしています。ただし、蠍座の冥王星の力によるものなので、ロシアにとっても、かなり困難な立場からの、逆転という流れになるでしょう。
同様に、ウクライナの始原図と春分図を重ねてみます。実際、ウクライナもソビエト連邦の一部だったので、ソ連の崩壊とともに、誕生したと考えることもできます。が、ウクライナは、1991年8月24日に独立を宣伝しているので、この日をもとに、始原図を作成します。
ロシアの始原図と同様に、冥王星が蠍座にいて、春分図の火星と協力的な角度をとっています。冥王星は動きが遅い外惑星なので、ロシアの春分図の位置と、大きくは違わないのですが、ウクライナの冥王星は蠍座の17度です。この17度という角度と、近くに金星がいないことが、運命をわけることになりそうです。

さらに、ウクライナの始原図の土星には、春分図の冥王星が重なっています。そして、この土星と冥王星に対して、春分図の太陽、始原図の太陽が、ヨッドと呼ばれる、三角形を作っています。ヨッドは、神の手とも呼ばれる複合アスペクトで、逃れることができない試練や困難を表します。神の手によって、つくられる困難なので、乗り越えられる試練でもあり、それを乗り越えることによって、新たな境地に達することができることをあらわしています。
始原図の太陽は、ウクライナという国家という、その存在そのものを表しています。今年の春分から来年の春分までの間、NATOとロシアに板挟みになって、代理戦争のような状態に陥っている最悪の現状からは、なんとか脱却できそうです。