西洋占星術

冥王星山羊座時代と水瓶座時代

10月12日に、冥王星は逆行から順行へと進路の向きをかえ、山羊座29度という終わりの位置から、水瓶座へと順調に進行し、11月20日に水瓶座に入室します。その後、2043年3月9日まで、約18年半の間、水瓶座に滞在し続けます。いよいよ、2008年から約16年から続いた、冥王星山羊座時代が終わり、本格的な冥王星水瓶座時代へと移行します。

地の時代から風の時代へ

山羊座は4大元素では、地の星座ですが、地星座は、英語ではEARTHと呼び、地球をあらわします。地球は3次元の物質社会なので、地球の星座である山羊座は、物質社会を象徴します。

一方、水瓶座は知性や精神性を重視する、風星座です。はっきりと知覚できる物質的な価値観に対して、風星座が重視する非物質的な価値観は、知覚できません。風という4大元素は、英語では AIR と呼び、本来の意味は空気です。空気は、目には見えませんが、感じることはできるものであり、人間や地球上の生物にとって、なくては生きていけない、重要なものです。

風星座と考えるよりも、本来の意味である、空気として水瓶座が象徴する世界をとらえると、より水瓶座の価値観が明確になります。日本語には、空気を読むという概念があり、その場の雰囲気を読む、言葉に出さなくても、テレパシーのように他の人が考えていること、感じていることを察する、という意味で使われます。空気が読めない人は、コミュニケーション能力が弱いと思われるし、空気を読んで、言われなくても行動に移せる人は、頭のよいスマートな人だとみなされます。空気を読む能力は、人間が潜在的にもっているものであり、決して特殊なものではありません。

風星座、つまり空気の星座は、情報や知性を重視するものであると言われますが、それらの情報は、空気のように、知覚できないものや音声で認識できないものなのです。大手メディアの情報や、SNSの情報などは、むしろ山羊座的な情報媒体を象徴するものです。情報源が公的なものであるかどうかは、水瓶座にとっては、たいして問題ではありません。

水瓶座にとっては、はっきりと知覚できない空気のようなもの、誰が風潮したかのかわからない噂話、社会的な雰囲気、自然界で聞かれる鳥のさえずりや虫の鳴き声、動物たちの行動パターン、さらには虫の知らせと言われるようなテレパシーのようなものまで、人間が感知できる全ての物事が、何らかの意味をもってくるのが、風の時代の特徴です。

嘘がつけない I Know な社会

12星座は、牡羊座から始まり、魚座まで進んで一周します。この12星座の動きは、人間の一生に例えることができます。牡羊座は生まれたばかりの赤ん坊で、人生のスタート地点です。そして、最後の星座である魚座で、人生を終えます。牡羊座から星座を移動するたびに、年をとって、人生の次のステージにあがっていきます。

年齢を重ねてステージがあがってくると、付き合う人間関係の幅が広がっていきます。牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座までは、生まれてから中学生ごろまでのステージなので、家族と過ごす家庭内が、重要な人間関係です。このステージでは、生まれ育った家庭内における、プライベートな人間関係の中で、自分自身を成長させることがテーマとなります。

獅子座になって、青年期になると、人間は集団の中で生活することを学びます。そして、新たなパートナーを求めて、自分自身の新たな家庭を築き、特定の小さな集団で生活することを、構築するステージです。獅子座、天秤座、乙女座、蠍座のステージでは、パートナーシップや、小さな特定の集団での人間関係がテーマになります。

射手座は、40年代の中年期に差し掛かるころであり、特定のパートナーと関係を築いた後は、新たな未知の世界に飛び出していきます。射手座、山羊座、水瓶座、魚座のステージでは、より大きな社会、境界を越えたより広い世界がテーマになります。

水瓶座と山羊座も、より広い社会的で、地球規模の枠組みで活動とする星座です。しかし、地星座である山羊座と、風星座である水瓶座には、明確な違いがあります。山羊座は、人生経験を糧にしてキャリアのトップを極めるステージです。目標を達成し、社会的責任も果たし、物事を現実的で合理的に考えるのが山羊座です。

社会的な集団に帰属しながら、如何に集団としてメリットをえるか、地星座の最後のステージを経験する山羊座では、常にグループとしての物事を考えることが重要になってきます。集団を維持するためには、厳密な役割分担と、それを厳密に実行するためのヒエラルキーが必要になってきます。

山羊座のキーワードは、I Use です。山羊座にとっては、物質として利用できるものこそが、本当に必要なものです。それを手に入れるために必要なことは、厳密な規則にもとづいて、誠実に実行する力、建前と本音を使い分けながら、集団としての秩序を崩さないという社会的な信頼です。常に、集団としての利益が優先で、そこに個人的な本音は度外視されます。

一方、水瓶座は、社会生活を終えて自由な時間を手に入れた60代後半のリタイア時期のステージです。社会のルールや慣習に惑わされず、自分のペースで、自由に生きるスタイルを模索します。水瓶座の世界では、建前は必要ありません。個人個人が、それぞれの幸せを追求することが、最優先です。

水瓶座のキーワードは、I Know です。社会生活の最終ステージまで経験した水瓶座は、全てわかっています。山羊座時代に重要だった、建前はもういりません。風星座の水瓶座は、何を言われても、全てお見通しです。嘘がつけない社会、個人と個人が本音で付き合う社会が、水瓶座の世界なのです。

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