西洋占星術

外惑星の動きから世相を読む (3)

私たちの潜在意識に影響を与える、天王星、海王星、冥王星の動きから、社会的な世相がどのように変化していったのかを考察します。今回は、バブル景気がはじけた、1990年代後半以降を対象にします

1993年から1995年: 海王星と天王星の合

第二次世界大戦中の混乱期、1943年ごろから、冥王星と海王星は、セクスタイルという協力的な角度をとり続けていたのですが、バブル景気がはじけた、1994年ごろから、この安定の角度は崩れていきます。一方、1994年より少し前、1993年ごろから、海王星は天王星と山羊座で重なります。コンジャンクション、もしくは合と呼ばれる、地球からみて、惑星が一直線上に配置される配置は、惑星の力をもっとも強力にする、メジャーアスペクトです。

海王星と天王星がぴったりと重なるのは、1993年であり、その後も1995年ぐらいまで、かなり接近した状態が続きます。以下の図は、1994年の春分図です。海王星と冥王星は、まだ緩やかなセクスタイルという角度をとっており、その海王星に、冥王星が接近しています。

1994年3月21日午前5時28分 東京  heliocentric占星術 (freehorocharts.com) にて作成

冥王星は蠍座から射手座の境界線にいて、海王星と天王星は山羊座の終わりの方の度数にいます。その後、冥王星は1995年に射手座に、天王星は1995年に水瓶座に、海王星は1998年に水瓶座に、それぞれ移動します。

1993年は、バブル崩壊と同時に、インターネットの登場という、大きな技術的な変化があった年でもあります。天王星は、予期せぬ大きな変化と同時に、技術革新という象徴があります。インターネットがはじめて一般向けのPCで使えるようになったのは、1992年にWindowsの3.1版からです。しかし、まだこの頃は、PC自体が高価なものであり、技術的にもインターネットに接続するのは、専門的な知識がない人には、かなり難しいことでした。それが、インターネット元年と呼ばれた1995年に、Windowsの95版が販売されると、状況は一変します。インターネット接続設定が、OSに標準装備されることによって、インターネットに接続できるユーザー数が、一気に増大しました。

ちょうど、この時代の外惑星の動きと、インターネットがもたらした技術的変容、それに伴う、社会的経済的な影響を照らし合わせてみると、星のあらわす象意がぴったりと、現実の流れと一致していることが面白いと思います。

海王星と天王星は、山羊座にいるときに直列しているので、この基本的な技術革新は、山羊座的なピラミッド社会を維持するツールとして誕生しています。そこに海王星が加わることによって、新たな社会システムを構築することへの、大いなる野望と期待のようなものを背負っていることがうかがえます。

この海王星と天王星に、冥王星が協力的な角度をとっています。蠍座の冥王星は、一つのことを徹底的にこだわりぬいて、達成させることを目指しますが、射手座の冥王星は、より幅広い視野から、ものごとを多角的にとらえ、より敏速に、より高度に達成していくことをよしとします。射手座は、海外、より遠いところを目指すので、国境という垣根を飛び越えて、専門的な知見が容易にえられるようになるのが、射手座のとくいとしている領域です。まさに、インターネットにぴったりという象意です。

そして、1995年に天王星が水瓶座に移動すると、山羊座的なピラミッドに守られて、一部の人の技術にとどまらず、よりフラットな社会構造の中で、インターネットが普及していきます。風星座の水瓶座は、情報を操るネット社会の象意そのままです。しかも、天王星は、水瓶座の支配星でもあります。山羊座がピラミッド型の組織社会を象徴するのに対して、水瓶座の社会システムの基盤をつくるのは個人です。個々人のニーズを、より公平に満たすツールとして、インターネットが威力を発揮していく時代がはじまりました。

2012年から2015年: 冥王星と天王星のスクエア

1997年以降、バブル景気がはじけて、日本にとって、失われた30年と呼ばれる、経済の停滞期がはじまると、外惑星同志がメジャーアスペクトを作って、互いに影響を与え合うような星の配置は、しばらくみられませんでした。しかし、2012年になると、冥王星と天王星は、スクエアと呼ばれる、90度という緊張の角度をとるようになります。

下の図は、2014年の春分図です。ちょうどアセンダントの上には、冥王星がのり、その冥王星と90度の角度をとって、天王星が3ハウスの牡羊座にいます。冥王星は、2008年に、射手座から山羊座に移動しました。そして、その直後に起こったのが、リーマンショックによる、金融市場の暴落です。

2014年3月21日午前1時57分 東京  heliocentric占星術 (freehorocharts.com) にて作成

一方天王星は、2010年に魚座から牡羊座に移動しています。惑星は、牡羊座からスタートして黄道を一周するので、最後の星座魚座を通過して、牡羊座に入室するというのは、それだけ大きなイベントであり、新たな再スタートとなるのですが、2011年には東大震災がおきた年でもあり、波乱の幕開けとなりました。

リーマンショック、東日本大震災と、大きなイベントを経た後、2013年には野党から自民党への政権交代があり、第二次安倍内閣がスタートします。そして、アベノミクスと呼ばれた、規制緩和などによって、より競争を活発にさせる、生産性を向上させようとした、経済政策が行われるようになります。

天王星は変革の星であり、牡羊座はあらたな物事をスタートさせる星座です。この時期にみられる、冥王星と天王星のスクエアには、何とか、現状の雰囲気を変えて、現状を打破したいというような、惑星の強いの意志を感じます。

アベノミクスは、実質的には、2019年ころには、雇用環境が改善されたことによって、名目上のGDPが上昇したりして、一定の成果をえられたようです。しかし、海王星が冥王星と協調の角度をとっていた、昭和の時代からバブル崩壊までの経済成長とくらべると、物足りなさはぬぐえません。海王星は、国民の深層心理、集合意識に影響を与え、人々の夢や理想をサポートしようとする星です。海王星がサポートしない社会変革は、どこか表面的で、上っ面の数値だけが引き合いにだされるような、技巧的なずるがしこさを感じてしまいます。

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