西洋占星術

外惑星の動きから世相を読む (1)

2024年7月21日、山羊座で起こった満月くらいから、3つの外惑星、天王星、海王星、冥王星が、小さな三角形を描き、互いに協力しながら、社会的な影響をより強く与えている配置になっています。これらの外惑星は、肉眼では見ることが出来ないため、顕在意識では意識できない、私たちの深層心理に直接的に働きかけます。外惑星は、地球から大きく離れているため、地球からみると、動きが遅く、長期間にわたって、私たちの潜在意識に影響を与えます。必然的に、私たちの集合的無意識がかわってくるので、社会的な世相が大きく変容していくことになります。

このような、外惑星同志が、メジャーアスペクトをとる配置というのは、それほど多くはありません。満月図の時と同様に、外惑星が小三角形を描いていたのは、第二次世界大戦の真っただ中、1943年から1945年くらいの期間でした。今回は、1930年くらいから2030年くらいまで、外惑星の配置の変化をみながら、社会的な世相がどのように変化していったのか、検証していきたいと思います。

1932年から1934年: 冥王星と天王星のスクエア

1932年4月20日ごろから1934年1月18日くらいまで、冥王星は天王星と、90度という角度、スクエアよばれる緊張のアスペクトととります。以下は、1933年の日本の春分図ですが、蟹座21度の位置にある冥王星は、牡羊座の22度の天王星と、約90度の角度をとっています。

1933年3月21日午前10時43分 東京  heliocentric占星術 (freehorocharts.com) にて作成

冥王星は、1937年頃まで蟹座に滞在するのですが、蟹座は、身内主義、家族主義を象徴する星座です。家とは何か、家族とは何か、国家とは何か、このような自分が所属するグループへの帰属意識が、もっとも高まったのが、冥王星蟹座時代と言えるでしょう。

その冥王星に、牡羊座にいる天王星が緊張の角度をとっています。天王星は変化、変容の星ですので、家族を思う気持ち、国家に忠誠をつくそうとする気持ちを、試すようにして、天王星が揺さぶりをかけていきます。牡羊座は12星座の最初の星座になるので、何かをスタートすること、何かを変化させることに、少しも躊躇しないのです。

ちょうど、1932年に満州国が建国されて、日本という国の領土が拡大していった時期です。1933年には、日本は国際連盟から脱退し、ドイツでは、ヒトラー政権が誕生しました。世界大戦への足音が確実にきこえてくるような世界情勢の中で、緊張感を感じながらも、より蟹座的な狭いグループの中での結びつきを、強く意識させられた時代です。

1943年から1945年: 冥王星、海王星、天王星のミニトライン

冥王星と90度のアスペクトをとった天王星は、1939年頃から、今度は海王星と120度の角度をとりはじめます。さらに、1943年後半になると、冥王星が天王星と60度の角度をとるようになるので、1943年の終わりから1945年にかけて、冥王星を頂点にした、外惑星による小三角形、ミニトラインの複合アスペクトができます。

下の図は、1945年の春分図です。獅子座にいる冥王星を頂点にして、双子座にいる天王星、天秤座にいる海王星と、小三角形を描いています。冥王星は火の星座であり、双子座と天秤座は風の星座です。風と火という、異なったエレメントの星座同志が組み合わさることによって、困難がともなう経験を経ながらも、さらに大きな飛躍をとげようとします。

1945年3月21日午前7時30分 東京  heliocentric占星術 (freehorocharts.com) にて作成

獅子座の冥王星は、国家の存在そのものを脅かすような、強い変革をもたらします。その大きな破壊力を、天王星の双子座は、報道やメディア、情報をあらわし、天秤座の海王星は、パートナーシップ、人間関係における境界線、自分と他者との関係性をあらわします。終戦というのは、単なる物質的な破壊なのではなくて、人間関係、個人と社会とのつながり、国家と国民との関係性そのものを破壊して、再構築する、大きな転換期だったわけです。

この時代におきたことは、どのようなレベルの歴史の教科書にも、明確に記述されているので、もはや誰でも認識していることです。天王星が海王星がと120度の角度をとった、1939年には、第二次世界大戦が勃発し、国民徴用令が公布されました。その後、1941年には、真珠湾攻撃がおこり、太平洋戦争が開幕しました。

天王星が冥王星とも60度の角度をとるようになった、1943年になると、アメリカのB29爆撃機による、本土への空襲がはじまり、戦争の被害を、日常的に感じるようになります。そして、1945年には、東京大空襲があって、沖縄戦があって、広島と長崎に原爆がおとされて、8月15日に終戦の日をむかえるわけです。

1945年の春分図をみると、冥王星が国土の状況をあらわす4ハウスにいて、その破壊力が如何に大きなものであったかを物語っています。しかしその一方で、金星がアセンダントの近くにのっており、冥王星とは、90度という緊張の角度をとっています。国民にとっては、悪くなる一方の戦況に不安をいだきつつも、戦争が終わったことには、大きな安堵をもって迎えたことでしょう。

このミニトラインが、私たちの集合意識にどのような影響を与えたのか、それを理解する上で重要なことは、冥王星によって、どれだけの破壊が私たちにもたらされたのか、ということだけでは不十分です。重要なことは、この大戦から終戦への経験が、私たちの歴史の教科書に記述されているということではありません。より重要なことは、この敗戦によって、私たちが現在使っている、全ての教科書の記述が、この敗戦を期に根本的に書き改められたということです。海王星によって、国家とは、家族とは、人間関係はどうあるべきなのか、私たちが理想とする社会はどうあるべきなのか、という信念体系が、この敗戦を経て、根本的に作り変えられたのです。

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