2025年6月21日 夏至図を読む (2) アメリカと中東情勢

日本では2025年6月21日に夏至を迎えますが、アメリカの首都、ワシントンDCでは、6月20日の夜、午後22時41分に夏至を迎えます。天体が配置される星座は日本と同じですが、時間が違うので、ハウスと感受点の位置が日本と異なっています。日本の夏至図もとても強い配置でしたが、アメリカの夏至図も、負けていません。

アメリカの春分図では、2ハウスに海王星や太陽など、多くの天体が集中していましたが、夏至図でも同様に、2ハウスに海王星と土星が入っています。引き続き、お金や財政の状況は、重要なテーマです。安全資産であった米国債は格下げ、長期米国債の金利がかつてないレベルで上昇、イーロンマスク氏も匙を投げてしまったような状態で、再び米国の債務問題が注目が集まりそうです。

そして、アセンダントに冥王星、ICに天王星がいます。これらの外惑星は、それぞれ協力的な関係にあり、小さな小三角形を描いています。感受点の近くに、力の大きな外惑星がしっかりと陣取っている、とても象徴的な配置です。

とくに、アセンダントは水瓶座で、水瓶座の支配星は天王星です。それゆえに、この天王星は通常以上に、大きな威力をもっており、さらに7ハウスの火星と緊張の角度です。その天王星がICの近く、4ハウスにいることに注意が必要です。4ハウスは、国土を表す場所であり、自然災害や地政学的なリスク、その他、突発的で予測不可能な事故や事件、テロや暴動などが起きやすいときです。

同時に、天王星は最先端のテクノロジーをあらわします。古い技術を一層して、飛躍的な発展したAIをベースにした、次世代の情報インフラの片鱗が、どのようなものであるか、垣間見れそうです。そこに冥王星がかかわっているので、古いものを根本から崩していくような、技術革新は、抜本的な社会変革とセットになっています。

豊かさをあらわす木星と、国家を象徴する太陽は5ハウスで、大衆をあらわす月は3ハウスです。5ハウスは、実質的な産業活動を表す部屋で、製造業や農業、商業やエンターテインメントなどのサービス業も5ハウスです。そして、3ハウスは、流通や貿易、通信や情報インフラなどをあらわします。

そして、太陽と木星に、協力的な角度をとっている火星は、同盟国や敵国との関係や外交をあらわす7ハウスです。すでに、中東での地政学的なリスクが高まっているので、イスラエルと関係が深いアメリカが巻き込まれないか、不安に感じている人が増えてくる時期だと思います。軍事であらわすのは6ハウスですが、6ハウスに入っているのは水星です。直接にアメリカが巻き込まれるというよりも、戦況下における情報戦が主流になりそうです。蟹座の水星なので、排他的で極端な考え方が多くなるのことに、注意が必要です。

一方、4月以降にアメリカの外交問題の中心的な話題であった、トランプ関税にかかわる問題は、そろそろクライマックスを迎えそうです。7ハウスから適度な牽制球をうけつつも、5ハウス、3ハウス、2ハウスに星が集中している状況で、夏至からの3か月間で何らかの決着がつきそうです。実質的なお金の問題に直面しつつ、具体的な対応策を練り上げて、しっかりとした土台を造り上げていくときです。

木星の擁護をうけている太陽は、通常では受け入れがたいような強気の態度で、物事を進めていきます。月は太陽に対して、表向きは協力的ですが、一方では冥王星から緊迫した状況を強いられています。どこまで、国がやることを信頼できるのか、忍耐力が試される時期であるのは、日本もアメリカも、世界中で共通です。アメリカの夏至図では、アセンダントにのっている冥王星の力が、より威力をもっているので、国家を擁護する側も、批難する側も、極端な意見に偏りがちです。

ちなみに、現在イスラエルと事実上の交戦状態にある、イランの首都、テヘランの夏至図もみてみました。MCの土星がぴったりと接触し、すぐ近くに海王星が配置されている、強いエネルギーを感じる夏至図です。海王星は、宗教をあらわす天体でもあり、外惑星で描かれる小三角形の頂点にある星で、より長期的な世相の流れをあらわす天体の主役です。

MCは、星の配置の中で、最も大きな力を発揮する感受点であり、影響力が大きくなる場所です。必ずしも、旧約聖書にあるような、終末戦争のような大戦になるとは限りませんが、この夏至から3か月の間、国際情勢の中心的な話題になることは間違いないでしょう。

アメリカやイランなどの中東地域の夏至図をみると、木星がMCにのっている日本の夏至図が、一番穏やかなのではないか、と錯覚しそうです。日本では、他国で感じるような緊迫した状況に陥ることはないかもしれません。が、今年の夏至の星の配置が暗示していることは、歴史を塗り替えるような大変革期に突入しても、不思議ではないくらい、大きなエネルギーをもっています。しっかりと、その変化を見届けていきたいと思います。