土星の牡羊座入り
2025年5月25日、 土星が魚座から牡羊座に移動します。土星は約30年間で黄道を一周し、一つの星座には約2年半滞在します。土星の星座移動は、2年か3年に一度の頻度で起こるイベントですが、今回は、12星座の最初の星座、牡羊座への移動になるので、一つの時代の区切りともいえる、大きなイベントです。
土星は、制限と試練を与える星です。木星がアクセルで、物事の象意を拡大、発展させるのに対して、木星はブレーキ、一度立ち止まって、懸念事項を見直し、計画の練り直しや再考を促したりします。
例えば、2020年3月22日に、土星が水瓶座に入ったときは、緊急事態宣言が出されたり、不要不急の外出が制限されました。その後2023年3月7日に、土星は水瓶座から魚座に移動するのですが、感染症による行動制限は、土星が水瓶座にいる間、最も厳しく行われました。水瓶座は、自由と平等を象徴する星座です。個人が自由に移動する権利、行動する権利が最も奪われた2年間だったと言ってよいでしょう。
- 2020/03/22 水瓶座 0度
もう一つ、今回の土星の星座移動で特徴的なことは、土星とほぼ同時に、海王星も魚座から牡羊座に移動することです。海王星は、165年で12星座を1周して、一つの星座には約13年間滞在します。海王星は、2012年2月から魚座に滞在していましたが、2025年3月30日に牡羊座に移動して、10月22日に逆行して一度魚座に戻ります。土星は、海王星を追いかけるようにして、牡羊座に移動しますが、動きの遅い海王星と土星は、ほぼ平行して、同時に移動するのは、とても貴重なタイミングです。しかも魚座から牡羊座への移動という、12星座の最後の星座から、最初の星座へのサイクルを終えるのです。
- 2012/02/04 魚座 0度
実際に土星が牡羊座に入るときの星の配置をみてみます。土星と海王星が牡羊座の0度と1度という場所で接近し、土星と海王星を頂点として、天王星と冥王星が小さな三角形を描いています。天王星のそばには、水星と太陽もいて、とても力強い配置です。

海王星が牡羊座に入ったときは、土星、金星、水星が魚座にいて、太陽と月は牡羊座にいました。魚座と牡羊座に星が集中している配置でしたが、5月25日になると、太陽は双子座、水星は牡牛座、金星は牡羊座へと進行していて、星たちは、順調に新たなサイクルをスタートさせたタイミングのように見えます。とくに、牡牛座にいる天王星と水星が力を発揮しており、経済、金融市場が、大きなテーマになっているようです。
土星が現実的な実利を重んじる星であるのに対して、海王星は目に見えない世界や、精神的な価値観を追い求める星であり、土星とは真逆の価値観をもっています。海王星が精神的な価値観に訴えて、夢や理想を追求しようとする一方で、土星がその夢を、現実的な視野で精査して、ダメだしを行うような感じです。
例えば、2025年3月30日に、海王星が牡羊座入りしてから数日後、アメリカのトランプ大統領は、各国からアメリカへの輸入品に、関税をかけることを発表して、株式市場は大暴落しました。まさに、アメリカを再び偉大な国にするという野望が海王星ならば、市場の反応は土星の働きと言えるわけです。
しかし、この時は、まだ土星は魚座にいました。魚座の支配星は海王星であり、その意味において、海王星が夢をおいかける力は、魚座の援護をうけて、偉大であり、魚座の土星は海王星に対して、寛大でした。しかし土星が牡羊座に入ると、土星の力は、より現実的で、活動的になります。新たな理想を抱いても、現実面において実態が伴わないと、より手痛いしっぺ返しをうけることになります。
また、海王星は物事の境界線を曖昧にして、物事の白黒をはっきりとさせないで、うやむやにする星です。土星は対照的に、物事の善悪を明確にして、悪いものには、徹底的な制裁を加えようとする特徴をもっています。詳細を精査して、因果関係をあぶりだし、確実な結果を導くように、社会を誘導するのが、土星の役割です。海王星が牡羊座に入り、新たな理想的な社会を創り出そうとするときに、土星が海王星を同伴していることは、とても大きな意味があることです。
土星は逆行して一度魚座に戻りますが、その後2026年1月27日に牡羊座に入り、そのまま2028年4月13日まで、牡羊座に滞在します。土星が牡羊座に滞在するタイミングでは、予期しない土星の制裁が入ることがあるので、通常では想定できないような出来事が起こりがちです。しかし、この時期に起こることは、海王星が新たな社会を構築するために、必要なステップです。私たちがどのような理想を抱くのか、そのために必要な現実的な視点を、冷静に持ち続けることが、より重要になっていきます。