02 西洋占星術

土星と海王星の合 (2) 夢の終わりか始まりか

前回の投稿では、過去に土星と海王星が重なったタイミング、1989年、1953年、1917年において、過去に起こった出来事を振り返りながら、星の配置との関係について、考察しました。土星と海王星の合については、動きの速い土星が、動きの遅い海王星に覆いかぶさるようにして、海王星があいまいにしているものを、土星があぶりだすような作用があるとよく言われますが、実際の歴史はもう少し複雑だったと、言えるのではないかと思います。むしろ、働きを弱められたのは土星の方であり、海王星のもつ、夢や理想にむかう力が、より強く、爆発したのではないか、と感じられるような様相もありました。もう少し、海王星と土星の働き方に焦点をあてながら、二つの天体の合について、掘り下げてみたいと思います。

まず、山羊座の10度に土星と海王星が接触した1989年は、日本はバブル景気の真っ盛りでした。その後日経平均は1989年の太納会でバブル期の最高値を記録したあと、緩やかに下降します。ここで重要なのは、1989年、バブルが実質的にはじけたあとも、1992年くらいまで、日本の景気は順調で、社会的にも華やかで豊かな雰囲気があふれていたことです。バブルの象徴として有名な、ジュリアナ東京は、1991年5月15日に開店し、1994年8月31日に閉店しています。土星の制裁を受けても、海王星が夢を追い続ける力は、それだけパワフルなのです。

1989年の合は、山羊座10度という角度を、まさにそのまま、日本の社会に投影したような感じです。土星は山羊座の支配星でもあり、土星と山羊座が示唆する、現実的な視野をもちつつも、さらに社会的な足場をより築いていこうという、強固な意思を、より華やかに、より強く持ち続けるように、エンジンを加速していくような状態です。この時の海王星の状態は、経済的な成功という一つの夢がかない、さらに大きな夢をおいかけようとして、より強くアクセルを踏む、そんな状態です。

続いて、1953年の合をみます。天秤座の21度という角度で2つの天体が重なり、双子座の木星と金星とも協力的な角度をとっていました。とても風星座の影響が強い配置をとった1953年に、NHKのテレビ放送が開始されて、今日まで続く、大手メディアによる情報インフラの基盤ができたのです。

1953年は、新たな夢のスタートと言えるべき年です。天秤座は対人関係をあらわす星座であり、21度というのは、天秤座の力が最も強く出る配置でもあり、大勢に対してや個人的になど、それぞれの状況に合わせた接し方を身につけ、相手の内面、心のうちまで推し量り、もっと人の内面に入り込んだ接し方をしようとします。海王星のスピリチュアルな力と、土星の現実的な視野という、相反するけど、互いの弱点を補うような協力的な力を得て、より大きな社会的な理想を追求していこうとします。

そして、1917年の合では、1914年に勃発した第一次世界大戦が、アメリカの参戦によって、より激化しました。同時に、ロシアで革命がおきて、世界の勢力図が大きくかきかわった時でもあります。火星座である獅子座の4度で天体が重なったこと、時代的な世界情勢を考慮に入れて考えると、来年におこる土星と海王星の合に、かなり類似点がみられると言えます。

アメリカが参戦した当時、表むきの参戦理由は、「民主主義をまもるための戦い」でした。その後、アメリカは、英仏への兵器や鉄の輸出等で貿易額は約4倍に伸び、戦争により軍需景気に恩恵をうけます。「民主主義」という理想を、海王星と土星の力を使って、戦争という皮肉な形で追行したわけです。その後、第一次世界大戦は、1918年11月11日に、ドイツと連合国が休戦協定に調印したことにより、4年3か月の長期にわたる大戦は終結します。

2026年において、海王星と土星が接触するのは、牡羊座の0度という、とても象徴的な場所になります。12星座の最初の星座である牡羊座に、土星と海王星がほぼ同時に入室するわけですから、一つのサイクルの終わりであると同時に、新たなサイクルの始まりになるので、時代の大きな区切りを、土星と海王星が演出するというわけです。

この貴重なタイミングは、1917年と同様に、逆行期間を経ないので、一度きりしかありません。うっかりしていると見逃してしまうので、注意深く、起きる事象も見守っていく必要があります。そして、1917年と同様に、牡羊座という火星座でおこります。火星座は必ずしも戦争と関連があるわけではありませんが、牡羊座の守護星が争いをあらわす火星であることから、牡羊座はとくに、戦争とのかかわりが強い星座です。現在の戦争が激化しないように、注意する必要はあります。

しかしながら、来年、土星と海王星がそろって、牡羊座に移動するタイミングを、戦争の始まりとみるか、それとも戦争の終結とよむかにおいて、その解釈が意味することは180度異なってきます。ポジティブに解釈するのであれば、戦争の終わりであると意識して、新しくはじまる、夢や理想に思いをはせることが出来るでしょう。

海王星と土星の力を使って、新しい理想社会を創造するためには、過去の理想が海王星という星による、まやかしであったと自覚する必要があります。夢は夢であった、という現実を受け入れなければ、新しい夢をみることはできません。例えば、「民主主義をまもるための戦い」という大義名分が、海王星がつくりだした偽善にすぎないと実感する、そのタイミングがいつになるかで、2026年の2月以降の世界情勢はかわってくるはずです。

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