02 西洋占星術

天王星の牡牛座時代を振り返る

2025年11月8日、双子座にいた天王星が、逆行して再び牡牛座に戻ります。天王星は、2025年7月7日に双子座に移動しましたが、9月6日から逆行を開始し、11月8日に牡牛座に戻ったあと、来年の2月4日まで牡牛座を逆行して、その後順行に転じてから、4月26日に、最終的に双子座に入室します。一時的に逆行して牡牛座に戻っている間、天王星は牡牛座でやり残した仕事を完了させると言われます。が、そもそも、天王星が牡牛座に入るということは、何を意味していたのでしょうか。あらためて、天王星牡牛座時代を振り返りたいと思います。

天王星は、約84年間をかけて黄道を一周し、一つの星座にはおよそ7年間滞在します。前回、天王星が最終的に牡牛座に入ったのは、2019年3月6日で、前々回は1935年3月28日です。平成時代の終わりに牡牛座に入った令和の天王星牡牛座時代も、昭和の牡牛座時代も、大きな戦争が勃発した時期と重なります。しかし、天王星や牡牛座に戦争という象意があるわけではありません。

牡牛座は地星座の不動宮で、物質社会において、所有という概念があります。同じ地星座でも、乙女座のように、コツコツと努力を積み重ねていくことや、山羊座のように大きな社会的な責任を追行することを意味するわけではありません。持って生まれた、物質的な豊かさと安定を象徴するのが、牡牛座です。

一方、天王星は、イギリスで産業革命がおきた、1781年に発見された天体で、変革や革命をあらわす星です。それまでの固定化された物事の常識や制限を乗り越えて、社会の進化、技術的な発展をもたらします。天王星が牡牛座に入ると、今までの所有していた物資的な豊かさを変革しようとするので、新たな豊かさの所有をめぐって、争いに発展することになるのです。

1935年、天王星が最終的に牡牛座に入ったときの星の配置です。牡牛座、乙女座、山羊座という地星座で正三角形が描かれ、魚座の水星をまきこんで、カイトが出来ています。同じくカイトができている、現在の星の配置と、なんとなく似ています。カイトというのは、そんなに頻繁に出来るアスペクトではないので、昭和の牡牛座時代も、現在の状況と同様に、大きな時代の変革期であったと言ってよいでしょう。

続いて、平成から令和にかわるころ、2019年3月6日に、天王星が最終的に牡牛座入りをしたときの星の配置をみます。海王星、太陽、月を頂点にして、火星、冥王星、土星を含んだ、小三角形が描かれており、こちらもとても強い配置です。ちょうど、魚座を運行している海王星は、16度という魚座のど真ん中にあり、その海王星を取り囲むようにして、太陽、月、金星、天王星、冥王星、土星、火星が配置されています。魚座の海王星の力が非常に強い配置ですが、外側の三角形の底辺に、火星、土星、冥王星という星がいることが、ちょっと不気味です。

この天王星が牡牛座に入ってから1年後には、大規模なパンデミックという、間違いなく歴史の教科書にのりそうが、現代史を刻む、大きな経験を経ることになります。今まで、当たり前と思っていた平凡な日常が、当たり前ではなくなるという、とても天王星的な現実に直面するわけです。海王星には、詐欺やまやかし、と言う意味があることは、とても意味深です。その後一年もしないうちに、国家も国民も、何か得体のわからないような大きな勢力に、大々的にまきこまれてしまいそうです。

天王星は、水瓶座の金星と緊張の角度です。水瓶座の金星は、自由で対等な立場で、精神的に自立し、独自の審美観を重視しようとします。しかし、現実は、社会的な権力がより大きくなり、既得権益者の利益が極端に擁護するような形で、富の分配が進んでしまうことになります。

次に、天王星が双子座と牡牛座の境界線にいて、牡牛座に戻ろうとして現在の星の配置をみます。魚座のど真ん中を中心に、星が集中していた6年前に比べて、星は全体的に分散しています。しかし、互いのアスペクトをとっていう天体が多く、とても力強い様相をあらわしています。天王星をはじめ、海王星、冥王星、土星、木星、火星、金星も同様に、星座と星座の境界線に配置され、それぞれが影響しあっています。

天王星は、魚座の海王星と土星、水瓶座の冥王星と小三角形を描き、動きの遅い、これらの外惑星から、継続的で大きな力を得ています。外惑星の小三角形を巻き込んで、複数の複合アスペクトを描く配置は、現在、まさに時代の変革期の真っただ中にいるということを意味しています。

天王星は、射手座の火星と対立する配置で、火星のすぐそばには、水星もいます。射手座の火星と水星は、広い世界に目を向け、知的好奇心が強く、未知の事柄にも臆せず、チャレンジしていきます。安定的な立場に安心しきっている牡牛座とは真逆の価値観を、天王星は受け取りながら、再度牡牛座に戻ってくるわけです。

牡牛座の天王星は、既存の紙のお金に対する価値観を、再度見直すように、強く働きかけていきます。今まで、お金とは、労働やサービスの対価であり、それを受け取ることが、働くことの目的でした。逆に考えれば、お金をえるということは、何らかの労働やサービスを提供してきたことの証であり、だからこそ、金銭的に裕福なことが尊ばれたのです。

しかしながら、労働やサービスによってえられるお金よりも、資産収入によって増大していく富の量が大幅に上回ってしまい、もはや雇用や労働によって生み出されるお金の総量よりも、遙か大きな存在感をもつようになっています。

同時に、GDPや消費、雇用といった、従来の経済活動をあらわす指標が、実質的な意味をもたなくなりつつあり、現在の金融システムそのものが、バグってきているのが、現在の実情です。バグってはいるものの、システムを利用し続ける人がいる限り、簡単に崩壊したり終了したりするわけではありません。

牡牛座の天王星は、今までの常識や既存の価値観を超えて、より広い視野をもち、さらに高い理想を求めて、私たちの豊かさに関する考え方を刷新するように刺激しています。天王星は、2026年2月4日に順行にかわり、4月26日に、最終的に双子座に入ります。

天王星より少し早く、現在魚座を逆行中の海王星は、12月10日に順行にかわり、来年の1月27日に牡羊座に入ります。海王星は、私たちの夢や理想、もしくは詐欺やごまかしなど、曖昧で抽象的であるけれども、人々の集合意識を直接的に操る、影響力が大きな外惑星です。海王星が天王星より、少し専攻する形で、新たな時代を先導しようとします。海王星が牡羊座に入り、天王星が順行をはじめる来年の2月ごろには、私たちは新たな夢や理想をもとめて、既存の金銭的、物質的な価値観を葬りさろうとするはずです。

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