西洋占星術

アメリカ始原図を読む (3) 天王星の回帰

冥王星ほどではありませんが、動きの遅い他の外惑星が、始原図の元の場所に戻ってくるタイミングも、重要な意味をもちます。とくに、アメリカの始原図を読む場合、天王星が始原図と同じ場所に帰って来るタイミングは、アメリカの歴史上、とても重要な時期です。

天王星は、84年間をかけて、黄道を一周します。アメリカの始原図では、天王星は双子座に入室しているのですが、1776年にアメリカ国家が誕生してから、天王星は、過去2回ほど、双子座に戻ってきています。

アメリカにとって、最初の天王星回帰は、1860年から1861年ごろで、この直後の1961年に、南北戦争がはじまっています。次の天王星回帰は、1944年ごろですが、この時期は、第二次世界大戦の真最中でした。アメリカの歴史の中で、アメリカが何ならの戦争に参戦することは珍しくないですが、天王星が双子座に戻ってきているときにおこる戦争は、アメリカという国家そのものの存在を、全く新たに刷新してしまうような結果になっています。

日本では、天王星が一周回って、魚座から牡羊座に入室した、2011年3月12日の前日、3月11日に、東日本大震災がおきたことが、よく知られています。

天王星は、必ずしも、戦争をおこしたり、地震を起こしたりする不吉な星ではありません。そのとき起こったイベントの後で、社会情勢が大きく変容します。まさに、社会や国家の刷新を意味する星です。

アメリカにとって、次の天王星回帰は、2027年の7月ごろになります。必ずしも、天王星が双子座の元の位置にもどってきたらといって、アメリカで戦争がおこるということでありません。しかし、何らかの時代の節目になるようなイベントになり、アメリカという国の概念に影響を与えることになりそうです。

さっそく、天王星が双子座に入室する、2025年7月7日日のチャートをみてみます。アメリカの始原図と重ねてみると、太陽と木星が、それぞれ始原図の元の場所にもどってきて、近づいているのがよくわかります。天王星は、双子座と牡牛座の境界線にいて、同じく双子座にいる金星と近づいています。トランジットの海王星は、牡羊座にいて、トランジットの土星と重なります。

アメリカのとっては、とても力強い星の配置です。良くも悪くも、アメリカという国をどうすべきなのか、ということに着目が向かうでしょう。トランジットの海王星を、土星が制裁しているようにも見えるので、国家に対する、人々のイメージや期待に、変化があるでしょう。

天王星が入室する星座をかえると、よくないことがおきるようなイメージもありますが、少なくともこの星の配置からは、そのような怖い印象はうけません。ただし、木星と太陽の力が倍増するので、何か、私たちが思っていないような、今までの常識の枠内を超えた、予期だきないような状況になるかもしれません。

最初に、天王星が元いた場所にもどってくるのは、もう少し先で、2027年7月27日ごろです。トランジットの火星が、始原図の土星に近づいています。トランジットの水星が蟹座にいる始原図の太陽に近づいており、トランジットの火星と海王星にそれぞれ緊張の角度です。このころの方が、いろいろと厳しそうな配置が目立ちます。

天王星は動きが遅い星なので、順行と逆行をくりかえしながら、同じ場所にしばらくとどまります。最後に、二つの天王星が重なるのは、2028年5月11日ごろです。同じ双子座に水星と金星が入室しています。2027年7月27日の配置でも、双子座にいる水星の配置が目立つので、この時期に大きくかわるのは、やはりAIを中心とした情報インフラのように見えます。

今まで、軍事や武力行使を使って、天王星が国家を刷新していったのですが、冥王星が水瓶座に入室このころでは、AIを駆使した情報戦が、社会を刷新していくための、主力なツールとなっていくようです。大きな戦争が起こるよりははるかによさそうですが、人々が新たな価値観についていくのは、かなり大変そうに感じます。

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